覚悟

 

「応援したくなる企業」の時代 という本をパラパラと読んでいます。この本の帯には、「売らない企業が生き残る」とも書いています。

 

まだ読み切った訳ではありませんが、内容の骨子としては、小手先のマーケティングや顧客に媚を売ってモノ(有形・無形問わず)を売りつける時代は終わったと。その理由は、単純で、生活者がこれまでの供給者(大企業・政府・大手マスコミ)のやり方に辟易としたから、ということです。

 

モノを売るために巧く上手く甘く説得さえできれば、生活者はモノを買うはずだ、という供給者側の生活者を嘗めた態度は、生活者に見透かされている。こういうことに、未だに供給者は築いていないわけです。

 

では、生活者は供給者の何を観ているのか。それは「覚悟」であると、思います。「応援したくなる企業」の時代 では魂の共感が大事だと言っています。魂の共感ってのは、要は、その供給者の「一貫性」「哲学・思想」「ビジョン」と行動の一致を生活者が観察した時に、感動するかどうか、だと思います。

 

そして、上記の「一貫性」「哲学・思想」「ビジョン」と行動を一致させるには、覚悟を根本としなければなりません。なぜなら、覚悟がなければ、そんな大層なことを行えないからです。

 

自分の信条を押し通すためには、たとえそれがお客であったとしても「断る」ことをしなければならないき局面が訪れ、その局面で自分の直近の生活を守るのではなく、自分の信念を押し通せるかどうか。そこに覚悟が問われます。

 

逆説的なのは、この覚悟を持てた時に、初めて、顧客から応援される供給者となれることです。営業マンは断ることを覚えなさい の真意は、結構深いのだと思います。

 

シンゴ・クリハラ

もう1つの価格決定のメカニズム精神的需給関係

 

様々な商品の価格のメカニズムは2つあると考えます。

 

①量的需給関係

②精神的需給関係

 

①は経済学の授業で習うメカニズムです。需要と供給が一致する均衡点で価格が決まる、と説明するものです。

 

一方、この経済学で習った価格のメカニズムで説明しきれないものはたくさんあります。それを説明するのに有用だと考えるのが精神的需給関係という考え方です。

 

もちろん、上記の価格決定のメカニズムは理論ですから、実践では、①と②が入り混じっているはずです。加えて、マクロな観点に立った時の価格決定のメカニズムを説明する理論ですから、自ずと個人的経験との差異を感じるはずです。というのも、例えば、現に価格を自由に決定することができる営業マンは全世界にたくさんいるわけですから、彼らからしてみれば、この理論で言われていることは馴染みがありません。

 

そういった、マクロとミクロの観点との違いや、理論と実践との違い等を前提とした上で、とりあえず、純粋理論的に精神的需給関係によって決まってくる価格決定のメカニズムについて考えてみたいと思います。

 

まず、量的需給関係によって説明しえない商品をいくつか考えてみたいと思います。例えば、それはブランド物の価格であったり、教育の価格等になります。ブランド物ならば、シャネルのキーケースを考えてみます。

 

シャネルのキーケースは数万円します。しかし、この数万円という価格は、供給に対して、需要が大きいから(在庫が無くなりそうだから)価格が高い訳ではありません。また、シャネル側としてみても、このキーケースの価格を企業としての経常利益や社員への給料を確保するためという観点だけで設定したものではないと考えられます。この価格は、シャネルと、シャネルを欲しいと考えている人々の精神的交流の中で育まれるものです。ある種の交渉を呈するようなもので、それは、シャネルが育んできた歴史的・思想的背景が、現代社会のどういった経済的・文化的階層とマッチするのか、という押し問答のような運動の中で決まってくると思われます。もちろん、シャネルの製品にだって量的需給関係のメカニズムが価格決定に影響を与えていることはありますが、それは程度の問題として少ないでしょう。逆に、シャネルのようなブランドではない製品にだって精神的需給関係のメカニズムが価格決定に影響を与えるでしょうが、その程度は少ないです。

 

こういった、ある種、量的な関係から開放された市場はたくさんあり、この市場について考察を加えていくことが、人間理解に最も役立つのではないか、と考えます。というのも、この精神市場(今後、精神的需要関係で価格が決まってくる市場の事を呼びます)において、確固とした地位を築くのは、まさに人間理解が基礎にあるからです。量的な世界ではない部分において、人間は何に価値を抱くのか。その歴史が、この市場には含蓄されています。今思いつく所では、アート市場、教育市場、アイドル市場、アパレル市場等でしょうか。

 

この辺のテーマとネットビジネスの融合が、結構大事だと睨んでいます。

 

シンゴ・クリハラ